I(総論) §2 行動総論

 6 積雪・凍結時の留意事項 

(1)出動前
留意事項 事故事例等

1 装備、資機材を有効かつ安全に使用するため、事前に付着した水滴等の拭きとりなど不凍処置を施しておく。

2 車庫内等が凍結していることがあるので、滑って転倒しないよう注意する。

3 車両を運行するときは、タイヤチェーン、スタッドレスタイヤ等を装着する。

4 乗下車時は車両のステップ及び路面が凍結していることがあるので、確実に固定物を握って乗下車する。

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(2)出動中
留意事項 事故事例等

1 積雪、特に凍結時に運行する場合は、機関員はもとより乗車員全員で路面及び通行人等の状況を把握し、細心の注意を払う。

▶ 冬季に橋上を走行した際に、路面が凍結しており、救急車がスリップして横転し際に、職員1名が負傷した。

2 タイヤチェーン、スタッドレスタイヤ等を装着していない車両で路面の凍結地域を運行する場合は、急ブレーキの使用を避け、エンジンブレーキを活用する。

▶ タイヤチェーンを装着し緊急出動中、交差点に進入してきた乗用車を発見し急ブレーキをかけたが、路面が凍結していたためタイヤチェーンの効果もなくスリップし乗用車の側面に衝突、頭部を打撲した。

3 積雪時は、路端に高く積まれた雪で道幅が狭くなり、見通しが悪いうえに緊急サイレンの音も雪に吸収され伝搬しにくいので、一般車両や通行人の飛び出し、赤信号の交差点での安全確保に注意する。

4 降雪時には、赤色灯などに雪が付着し、警告機能が低下するので注意する。

5 踏切、軌道敷内走行時の横すべり等に注意する。

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(3)現場到着
留意事項 事故事例等

1 停車時は、駐車ブレーキの凍結を防止するため、車輪止めを使用する(エンジン停止可能車両はギヤを入れる。)。

2 積雪時の消防活動は、凍結等によりすべるおそれがあるので、転倒に注意するとともに、境界及び障害物の視認が困難となるので、足場を確認して慎重に行う。

▷ 現場に到着し急いで下車したため、凍結した道路で転倒しそうになった。

3 はしご車等重量車両のアウトリガーは、除雪した地盤に設定する。

4 積雪時に、車両を誘導する場合は、路肩確認を行うとともに、停止距離が長くなるので注意する。

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(4)水利部署
留意事項 事故事例等

1 足元の悪い場所で水利部署するときは、積雪、凍結等ですべりやすいので、命綱等で身体を確保し、転倒防止を図る。

2 消火栓の蓋はすべり落ちない場所に置く。

3 開閉弁等の凍結により開閉時に通常以上の力が加わるので、消火栓開閉金具のはずれ及び路面凍結による転倒に注意する。

4 積雪のため防火水槽の蓋がすり鉢状の底に位置する状態になった場合、足場を確保し、鍵を確実に差しこんで、蓋は雪面を引きずるように移動させ、安全な位置に置く。

5 河川等の自然水利を使用するときは、河川が雪に覆われ、水面への踏み込みや斜面でのすべり落ちの危険があるので、部署の際に注意する。

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(5)ホース延長
留意事項 事故事例等

1 ホースカーによる延長は、雪で路面がすべりやすく、また軟弱なため、ふだんよりも人数を多く確保して行う。

2 手びろめによるホース延長の場合は、積雪時は棟と棟の間に雪が多量にあるため、進入が容易でなく、屋根からの落雪、氷塊落下に注意する。

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(6)放水活動
留意事項 事故事例等

1 火勢及び気温等により屋根上にある雪及び氷塊が落下することがあるので、屋内進入や軒下での放水は十分注意し、退路を確保する。また、路面の凍結等で足場が不安定になることがあるので、転倒に注意する。

▶ 火災の熱により屋根の積雪及び氷塊が突然落下し、下敷きになり職員が死亡した。

2 はしご等を利用して進入するときは、凍結等による足の踏みはずしに注意する。

▶ 路面が凍結していたのを把握できておらず、転倒し負傷した。

3 積雪時は、注水等により含水量が大きくなると、急激に荷重が増大し、通常よりも屋根の抜け落ちる危険が大きいので注意する。

4 屋根上で放水するときは、雪が屋根面をすべり、巻き込まれて転落するおそれがあるので、命綱等により身体を結着するなど、転落を防止して、できるだけ無反動管そうを使用する。

▷ 火災現場で、屋根上から2階に進入する際、積雪のため滑って転倒しそうになった。

5 多量の積雪がある屋根上で放水するときは、平常時より足場の確保は容易なときもあるが、注水等により一度に積雪がすべり落ちることもあるので、雪止めがある場合は、それより上方で位置し、足場の確保に努める。

▶ 消火作業中、水を含んだ雪の重みで屋根が落下したため死傷した。

6 雪の上ではしごを架ていするときは、基底部をできるだけ深く雪の中にいれ、登はん前に沈下のないことを確認するとともに、はしご上では両基底部に均等に荷重がかかるよう注意する。

7 積雪時や凍結時にはしごを架ていするときは、横すべりや片側沈下による横転を防止するため、懸架部及び脚部接地面に注意し、ロープ等で確保する。

8 積雪時は、落雪の危険がある軒先の雪は事前に注水して落とす。特に寺院等屋根の勾配が急なときは、落雪に注意する。

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(7)資機材の搬送時
留意事項 事故事例等

資機材を搬送するときは、雪上に置くと凍結、着雪により、はしごの掛金等の機能失われることがあるので注意する。

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(8)撤収時
留意事項 事故事例等

厳寒時は消火活動で使用した水が凍結するので、撤収するときは注意する。

特に、水利部署付近は路面等の凍結により転倒のおそれがあるので注意する。

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(9)帰署(所)
留意事項 事故事例等

1 帰署にあたっては、灯火装置、サイレン、サイドミラー等の着雪を完全に除去する。

2 帰署後、再出場に備え車両や使用資機材に不凍処置を施しておく。

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