II(各論)§4 救急活動

 2 現場活動 

(1)車両から救護場所への移動
留意事項 事故事例等

1 停車位置から救護場所に行くときは、足元・頭上等周囲に注意し、努めて関係者の誘導を受ける。

なお、夜間にあっては、照明器具等を活用する。

▶ 夕暮れどき、関係者の誘導もなく、途中の照明も十分でないなかを地下の建設工事現場へ降下中、足元に気をとられ、頭上の鉄骨はりに気付かず、頭部(ヘルメット)を強打し、けい椎を捻挫した。

2 空担架の搬送は、道路上の凹凸、段差及び頭上の障害物に注意するとともに、曲り角等では、一旦停止するなどして、通行人や車両等との接触を防止する。

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(2)屋外での応急処置等
留意事項 事故事例等

1 応急処置は、原則として傷病者の置かれている場所で行うが、二次災害の危険がある場合は安全な場所へ移動して行う。やむを得ず道路上で行うときは、道路の周囲の状況や頭上等を監視して、二次災害の防止に努める。

2 高速道路等において救急活動を行う場合は、消防隊、警察官及び道路関係者による通行禁止又は交通整理が行われ、安全が確認された上で行うよう努める。

▶ 自動車専用道路での車両火災に出場し、救急活動中に走行車両にはねられ死亡した。

3 夜間は、照明器具等を活用し、足元等に注意する。

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(3)屋内での応急処置時
留意事項 事故事例等

ガラス戸、鏡等が破損していることがあるので足元に注意する。工場等では、作動している機械等の接触や落下物に注意する。

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(4)担架への収容及び搬送
留意事項 事故事例等

1 傷病者の担架への収容及び担架の持ち上げは、腰を落として隊員間で呼吸を合わせて行う。

2 担架の後部保持者は、足元が見えにくいので、段差、溝等の障害物がある場合には、前部保持者等が声をかけて誘導し、つまずき、転倒等を防止する。

▶ 傷病者を担架に収容して、救急自動車内へ搬送中、道路の段差で足を踏みはずし、左足首を捻挫した。

▶ 病院の急患処置室入り口で後退しながら傷病者を搬送していた隊員が、足マットにつまずき転倒した。

3 メインストレッチャーを救急車外へ搬出する際、脚が出にくい場合もあるので、体制を整えて保持する。

▶ 救急車から、傷病者の乗せたストレッチャーを降ろす際、ストレッチャーの脚が出ず傷病者を落としそうになり支えたところ腰部を痛めた。

4 廊下、階段、その他狭い場所では、手甲部の打撲、擦過傷等を防止するため周囲の障害物に注意する。

▶ 病院到着後、傷病者を病院へ収容中、出入口前の階段を踏みはずし、右足首関節を捻挫した。

5 階段を昇降するときは、足元を確認し踏みはずさないよう一段ずつ昇降する。また、上下(前後)者間で声をかけ合うなど、昇降のタイミングを合わせ、階段の踏みはずし・転倒防止を図る。

▶ 搬送中に、幅の狭い階段を踏み外し、左足を骨折した。

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(5)車内での応急処置時
留意事項 事故事例等

1 走行中に応急処置をするときは、着席または床面に両ひざをつく等安定した姿勢で行い、転倒防止を図る。

2 走行中の急なブレーキ動作、方向転換、発進、停止等は行わないのが原則であり、やむを得ず行う際は、相互に合図を行い、取っ手などの固定物を握り転倒防止を図る。

▶ 隊員が中腰状態で傷病者の容態を観察中、救急自動車に急ブレーキかかり、座席の背もたれに腰を打ち負傷した。

3 静脈路確保やエピペン使用時において、使用済みの内筒針は、速やかに廃棄するとともに、隊員等は針刺し事故に注意する。

4 自動体外式除細動器の放電ボタンを押下するときは、他の隊員等に感電するおそれがあるので、自らも含め周囲のものが、傷病者から離れた事を確認してから通電ボタンを押す。

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(6)その他
留意事項 事故事例等

酩酊や錯乱状態の傷病者等は、隊員等に対し危害を加えるおそれがあるため十分注意して接近するとともに、必要に応じて警察官の協力を要請する。

▶ パチンコ店内へ救急出動し、酩酊状態の男に声をかけたところ、いきなりこぶしで左頬部を強打され負傷した。

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